【レビュー】思わず語りたいWestone W40|shureと比較も

イヤホン

4ドライバ搭載カナル型イヤホン Westone W40(WST-W40)を1ヶ月ほど使ってみた『水色パンダさん』(49歳/男性)に実際の使用感や特徴などをインタビューしました。

Westone W40

実際購入して良かった点、悪かった点など、伺っていますので、ぜひ参考にしてくださいね。

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4ドライバ搭載カナル型イヤホン Westone(ウェストン) W40(WST-W40)を購入しようと思ったきっかけ

私個人の音の好みは、シャープで硬質、中高音の透明感、といったものであり、試聴してはそういう傾向のイヤホンを選んできました。

結果としてよく似た傾向のイヤホンが増えていくことになります。しかし最近個人的なきっかけで、このような自分の好みとは少し傾向の違うイヤホンにも興味が出てきました。

そこでウォーム系の音と表現されることもあるWestone社のイヤホンに注目しました。

Westone W40(WST-W40)を知ったきっかけは?

Westoneは歴史のある評価の高いイヤホンメーカーであり、以前より製品そのものは知っていました。

今でこそ、ポータブルオーディオ界隈は大変な盛況を見せており、様々なメーカーが存在し、新しい製品が次々に開発、発表、販売されています。

しかし、私がポータブルオーディオの世界に興味を持ち始めた、4〜5年以上前は、私のような一般人ビギナーが頑張ればなんとか手に入れられる高級IEMのメーカーというと、SHUREとWestoneの二社、もしくは、それにUltimate Earsを加えた三社がまず思い浮かぶという感じでした。

いずれもアメリカのメーカーでSHUREは、マイクやレコードプレーヤーのカートリッジなどでも有名なメーカー、WestoneとUltimate Earsはプロミュージシャン用のカスタム製品も製作している専業メーカーです。

ウォーム系イヤホンを買う際に重要視したポイントとは?

私がウォーム系イヤホンを購入しようと思ったときに重要視したのは以下の2つです。

1.音質

音質が良いことは、当然最も大切な点です。今回はそれに加えて、今までの自分の好みの傾向とはちょっと違うこと、それでもその良さを感じられること、が重要でした。

2.装着感・遮音性

どのようなイヤホンを購入するときも同様なのですが、装着感が良いことと、遮音性が高いことは重視しています。

購入に迷ったウォーム系イヤホンは?

購入時に比較したのは、同じWestoneの「UM-PRO30」「UM-PRO50」です。また、SHUREの「SE535ltd」は、私の好みに合致するイヤホンとして長年愛用してきたものなので、自然に比較対象となりました。

Westone UM-PRO30

Westone UM-PRO50

SHURE SE535ltd

SHUREとWestoneは、前述のように互いに歴史もあり、プロの現場で使われる道具として高い信頼性を持っていましたし、内部構成、形状、価格帯などよく似たところがあり、互いにライバルとみなしてもいいと思います。

そんな中で音の傾向については、対照的な特徴を持っており、私はSHURE派でした。なんとなくWestoneは苦手だと思っていたのですが、先入観に影響されていた面もあると思います。

比較ポイントは音質の傾向です。

今回は、私がこれまで自分の好みだと考えていた音とは異なる傾向のイヤホンを手に入れることが目的でした。

これまでの好みを代表するイヤホンが私にとってはSE535ltdでしたので、それとは傾向が異なることが重要になります。その上で、これまでの好みとは異なるけれど、実はこれもいい音だと感じられることが重要でした。

私の個人的な好みを具体的に表現すると

  1. 解像度が高く細かい音までしっかり分離してよく聞き取れること
  2. 中高音がクリアで透明感の感じられる音
  3. 低音の量は少なめ、タイトで余計な響きがなく中高音を邪魔しないこと
  4. イメージとしては過剰な響きのないシャープで硬質な音

ということになります。

今回の比較検討のポイントとしては、この四つくらいにまとめられます。

ところで、UM-PRO30、UM-PRO50は、Westoneのモニター系の製品で、名前の通りミュージシャンや音楽製作者が「音」をモニターする目的の製品と位置付けられています。

したがって音の正確性が求められるモデルです。それに対してW40はリスニング系の製品で、正確性もさることながら「音楽」を魅力的に再現することを重視したモデルと位置付けられています。

もちろん、モニター系のモデルでも優れた製品は音楽を楽しく再現できますし、リスニング系のモデルでも、演出が過ぎれば不自然なものとなってしまうでしょう。おそらく、音の再現性のレベルが上がれば上がるほど、モニター系、リスニング系の区別は意味がなくなっていくのではないかと思います。(一方で超高級モデルになると、それはそれで、正確性を逸脱しつつもそのモデルにしかないオリジナリティのようなものが魅力になっていくのかもしれませんが)

SHUREのSEシリーズも基本的にはモニター系の製品と位置付けられます。(SE535ltdはベースモデルのSE535に若干演出を加えていますが)

したがって、まずはWestoneの中でもモニター系2機種の方が相性が良いのではないかと考えて、UM-PRO30、UM-PRO50を店頭で試聴しました。(両者の違いはBAドライバーの数でPRO30は3基、PRO50は5基です)

私にとって、両者の音は、SE535ltdと比較して低音の量が多く響きが過多と感じられます。SE535ltdが引き締まった低音で楽曲によっては、低音が少なすぎると感じることもあるのですが、その分中高音の解像度は非常に高く感じます。

それに対してUM-PROの2機種は低音の(私にとっては)過剰な響きが、中高音を邪魔していると感じられました。全体的に柔らかい音で、シンバルのような鋭い高音が弱く感じられました。

モニター系を謳っているので、もう少し各帯域がフラットでスッキリした音を想像するのですが、どうも低音が強調されているような気がして、好きになれません。

いままで何度か試聴はしていますが、今回もWestoneの良さがいまいちよくわからないという結果になりました。念のため付け加えますが、これはあくまでも私の個人的な感想であり、異なる印象を持たれる方も多いと思います。

どちらのモデルも、多くのイヤホン愛好家やプロから高い評価を得ているものです。

しかし店頭での試聴というのは、それで全て判断できるというものでもないのかもしれません。短時間の試聴になりますし、外出による疲労などの体調面の影響、酷使される試聴機の調子などが音の感じ方に影響を与えている可能性は大いにあります。

私は、Westoneの真価はこんなものじゃないはずとの想いから、結局ネットオークションで安く出ていた中古のW40を試聴なしで入手してしまいました。

Westone W40(WST-W40)の特徴、性能

形式:密閉型
ドライバー:バランスド・アーマチュア型シングルドライバ 4基 (高1, 中1, 低2)
再生周波数帯域:10 ~ 18KHz
入力感度:118dB
インピーダンス:31Ω
パッシブノイズ減衰:25dB
入力端子:3.5mmステレオ
ケーブル/コード長:EPIC脱着可能ケーブル/1.2m(Y字型)
重量:12.7g

2013年12月5日発売。高域×1、中域×1、低域×2の計4基のBAドライバーを積んだ3wayモデルです。コンパクトかつ軽量なプラスチック製筐体で、耳介への収まりは非常に良好です。(個人的にこの形状は枝豆を連想させます)

特に見た目の高級感は感じません。4年半以上前の製品ですので、大変モデルスパンが長いと言えます。なお、SE535ltdは2011年10月28日発売の3BA2wayモデルで、私は2013年秋に購入しております。

両者ともパッケージや付属品の変更などのマイナーチェンジは行われていますが、本体の変更は全くなく、現在も現役で販売されています。

これらは定番と言ってよい安定した評価を得ているモデルですが、ここ数年のポータブルオーディオブームにおける新製品ラッシュの中では、流石に若干陰が薄いような気もします。

私見になりますが、おそらくメーカーとしては音質的にある程度完成した製品であるとみなしているということ、モニター機としてプロの現場で使われるものはそれが音作りの基準となるので、その基準を簡単に変えるわけにはいかないということ、同じくプロの道具としては信頼性が第一であり、故障や不具合などが起こりにくいように最新技術ではなく、一世代前の枯れた技術をあえて採用するなどの理由があるのではないかと考えています。

これらのメーカーでは、上位機種を投入することでラインアップの陳腐化を防いでいるようで、発売当初はフラッグシップだった5万円前後のこれらの機種も今はミドルクラスという位置付けになっています。現在各メーカーのフラッグシップは20万円を超える価格となっています。

Westone W40(WST-W40)のメリット

購入後約1ヶ月ほど断続的に使用しています。私の中ではSE535ltdの音が基準となっているので、それと比較しながら聴いています。SE535ltdとW40はドライバー構成は若干違いますが、価格帯、発売当時のフラグシップ機であることなど共通点も多く、直接的なライバルと言ってもいいと思います。

まず初めに入手後、一聴しての感想は、これは素直にとてもいい音だということでした。UM-PROで挫折した私としては、ちょっと意外に思われました。全体にバランスが良い音です。

帯域別に見ていくと、低音については、SE535ltdはタイトでアタックが強く筋肉質で量は少なめですが、W40は低音の量が多く中低音に厚みがあります。低音の響きも多いのですが、よく制御されていて中高音を邪魔することはありません。

私にとってはUM-PRO系はこの低音の出方で引っかかってしまったのですが、W40は低音がよくコントロールされている感じで、非常に好印象でした。SE535ltdは楽曲によっては低音が物足りなく、プレイヤーの側でブーストしてやるようなこともあったのですが、そのような必要はなさそうです。

高音については、SE535ltdはやはりアタックが強く、キラキラ感があり、解像度の高さが容易に感じられるものですが、W40では柔らかく、キラキラした感じは控えめです。

W40は、低音から高音までフラットに音が出ていて、全体的に音が柔らかく、しかしよく聴くと解像度は高く、細かい音もしっかり聴き分けられます。例えば、女性ボーカルはSE535ltdに比べて重心が低くなり、明瞭な声に聴こえます。

例として声優の花澤香菜さんのボーカルは、ハスキーまではいかないけれども、少しかすれたような声の出し方が魅力で、SE535ltdではそれが上手く再現されていますが、W40だともっと明瞭になります。花澤さんの声に関しては、私はSE535ltdの方が好きですね。

音の広がりは低音の出方の影響でW40の方が広く感じられ、交響曲など気持ちよく聴けます。

Westone W40(WST-W40)のデメリット

強いて言えば、遮音性に関しては、わずかにSHUREの方が優れているかもしれないと感じました。

(同じイヤーピースでの比較)個人的に、SHUREはユニバーサルタイプとしては最高の遮音性を持っていると思っています。

特にフォームタイプ(潰して耳孔に入れると元の大きさに戻って耳孔を塞ぐ)のイヤーピースを使用した場合は、耳栓をしているようで音楽を流しているとまず外音は聞こえてきません。

電車の車内アナウンスが聞こえなくて駅を乗り過ごしたり、背後から近づく自動車や自転車に気づかないなど、屋外での使用は危険を感じこともあるほどです。

コンパクトで大豆のような形状と軽量なプラスチック製であることからくるものと思われますが、Westoneも基本的にはよく似た形状で、遮音性に関してもその差はわずかであり問題とはならないと思います。

また、ケーブルは汎用規格のMMCX端子で着脱可能となっていますが、端子部と本体のクリアランスの問題でサードパーティ製のMMCXケーブルは使えるものが限定されてしまう(使えないものが多い)ことは、リケーブルを楽しむ人にとってはちょっと残念な点かもしれません。(IMG_4606)

あと些細なことですが、デザイン的にプラスチックの外装プレートを着せ替えできるようになっているのですが、そのプレートが弱いらしく、取り付けネジの締めこみですぐに割れてしまうらしいです。

私はまだ交換したことがないのでよくわかりませんが、中古品はまず付属プレートのいくつかが割れていると考えた方がいいです。

Westone W40(WST-W40)の総合評価

試聴なしで購入してしまいましたが、意外にもとても気に入っています。厚みのある中低音、柔らかいけれども広がりのある音質傾向が、大編成のオーケストラやジャズやロックなどにも合うと思います。

もちろん非常にバランスが良く変に突出した特徴がないので、オールラウンドに多くの楽曲を楽しむことができると思います。鋭さやスピード感を売りにした一部のメタルやキレッキレッのダンスミュージックなどはちょっと苦手かもしれません。

例えば、上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト「MOVE」を聴くと演奏の熱気が生々しく伝わってきてとてもいいです。

着せ替えプレートのギミックは別として地味で実直なデザインですが、道具として完成されたものを感じます。

付属してくるイヤーピースのサイズや形状、材質も数多く、多くの人の耳にフィットするように配慮されています。

私個人としては、音の傾向は違うけれどもW40もSE535ltdも優れたイヤホンであり、楽曲やその時の気分で使い分けられるバリエーションが増えてよかったと思っています。

UM-PRO系も実は結構いいかもしれないと思い始めました。改めてきちんと試聴してみることとしたいと思います。

Westone W40

Westone W40(WST-W40)の口コミ・評判は?

Westone W40(WST-W40)のネットでの評判を調べてみました。以下、良い口コミ、悪い・要望などの口コミをどうぞ。

良い感想や効果があった口コミ

  • 音全部がまんべんなく聴こえます。低音が入り込んでくる感じではないので物足りなさがあるかもですが、とても気に入ってます。
  • イヤホンの耳なじみがとても良いです。音は柔らかい感じです。この辺は好みかと。
  • 残響音をキレイに聴けるイヤホンなので、ENYAなどの曲が好きな方にはピッタリかと。染み込んでいくように聴こえると思います。期待を超える品質です。
  • バランスがよく、聴いていて疲れないです。

悪い感想や要望などの口コミ

  • 通常の軽い音域が出ないというか普通な感じに聞こえてしまう。
  • くっきりした音が好みの方にはやや合わないかも。

Twitterの評判

Westone W40(WST-W40)の購入を考えている人へアドバイス

これらのモデルは前述したように、最近の新製品群の中では埋没気味なのかもしれません。しかし、息の長い定番製品として抜群の安定感を持っていると思います。

派手さはありませんが、よく調整され作り込まれた音であり、自分の中で基準とするに足るものなのではないでしょうか。

同価格帯の新興メーカのものを試してみるにせよ、もっと高価格帯のモデルに挑戦するにしても、こういったモデルをひとつ持っている意味はあると思います。

あと、試聴できればそれに越したことはないのですが、短時間の試聴ではその良さがわからないといこともありますし、出先で疲労していたり、試聴機の調子が悪いなどということもあり得ますので、その辺は考慮した方が良いと思います。

もちろん自分の好きな楽曲の入ったプレーヤーと自分の耳にあったイヤーピースは忘れずに。

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■この記事の担当
ヒデ

libloomスタッフのヒデです。43歳で奥さんと3人の子供と暮らしています。家電やスマホ用ガジェットなど大好きで、「libloomレビュワー」さんのインタビューも僕が担当しております。

近々、新築を建てる予定でして、そのタイミングで電化製品などおおよそ買い替えるつもりでいますので、libloomでも僕が実際に購入した商品をレビューしていきますよ!

libloomのレビューはガチです。実際購入した方の情報を正確にお伝えすることを心がけています。今後ともlibloomをよろしくお願いします。

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